「シェイプ・オブ・ウォーター」は2017年に発表されたギレルモ・デル・トロ監督の作品です。
クリーチャーを描く名匠として知られるデル・トロの作品の中でも、最も評価が高い作品のひとつです。
アカデミー賞監督賞他、ゴールデングローブ賞など世界の映画賞を受賞したことでも大きな話題になりました。
映画の色合いや雰囲気だけだと、半魚人と女性の恋を描いたかのようなファンタジーっぽい気もします。
しかし作品自体は暴力や性描写がまあまあ激しくて、若干痛そうなシーンもあります。
特に家族で見るのは気まずくなりそうなシーンが冒頭からあるので要注意！
もちろんR15指定です。
冒頭の性的シーンは、唐突過ぎて理解するのに数十秒（主人公の思考を理解できるまで）かかりました。
R15ですが、実際に性的な面も含めて主人公の気持ちを理解できそうな年齢は20代後半以降では…？という印象です。
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映画「シェイプ・オブ・ウォーター」の作品概要とあらすじ
| 作品概要 | 詳細 |
|---|---|
| 公開年 | 2017年 |
| 映画ジャンル | SF |
| 監督、脚本 | ギレルモ・デル・トロ |
| 製作総指揮 | リズ・セイアー |
| 音楽 | アレクサンドル・デスプラ |
| キャスト | イライザ・エスポジート – サリー・ホーキンス リチャード・ストリックランド – マイケル・シャノン ジャイルズ – リチャード・ジェンキンス 不思議な生きもの（彼） – ダグ・ジョーンズ ロバート・ホフステトラー博士 – マイケル・スタールバーグ ゼルダ・フラー – オクタヴィア・スペンサー フレミング – デヴィッド・ヒューレット ホイト元帥 – ニック・サーシー バーナード – スチュワート・アーノット |
1962年の冷戦下のアメリカ。
耳は聞こえるが発話障害のため話すことができないイライザは、機密機関「航空宇宙研究センター」で清掃員として働いている。
プライベートではアパートで独り暮らし、身寄りもいない寂しい生活だが、職場では黒人の女性ゼルダや、アパートのゲイの隣人ジャイルズら友人とともに穏やかな日々を送っていた。
ある日、宇宙研究センターには極秘で生物が運び込まれる。
それを監視していた独裁的管理者である軍人ストリックランドは、生物を邪険に扱い予備を切り裂かれてしまう。
血まみれの床を清掃させられたイライザは、そこで不思議な半魚人のような生物に出会う。
「彼」は部屋の中に設置された大きなプールの中や、筒状のタンクの中に常にいたが、その美しさに魅了されたイライザはその日以降彼のもとに通い詰めるようになった。
休憩時間にはこっそり部屋に入って、彼のプールのそばで音楽をかけゆで卵を食べさせ、言葉がないもの同士手話を彼に教えて徐々に打ち解けていく2人。
イライザは彼と出会えたことで生活に潤いが出て、毎日が輝きだすのを感じていた。
一方で徐々にその生物が航空宇宙研究センターに運ばれた理由が明らかになっていく。
「彼」はアマゾンの奥地で神として崇拝されていたがアメリカに発見され運ばれてきた。
センターの博士は人間の代用として彼をロケットに乗せようと考えていたが、ストリックランドはこの生物を解剖して実験しようと上司に発案していた。
それを聞いてしまったイライザは、彼を助け出す決心をする。
友人であるゼルダやジャイルズの協力を得て、深夜の宇宙研究センターから「彼」を救い出し自分のアパートに連れていく。
イライザのアパートの浴室に住み着いた彼は、そこでさらにイライザとの愛を深めるようになる。
宇宙研究センターでは生物が盗み出されたことで大騒ぎになっており、ストリックランドは徐々に誰が盗んだかの真実に近づいていく。
「彼」はアパートの狭い浴室ではうまく生きられないようで、段々と衰弱していく。
それを見ているイライザは、雨で増水した日に運河へ彼を連れて行こうと苦渋の決断をしようとしていた…。
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映画「シェイプ・オブ・ウォーター」のネタバレ感想と考察
デル・トロによるクリーチャー映画の真骨頂
デル・トロといえば、クリーチャー。
クリーチャーが好きだからデル・トロも好き。
そんな人も多いはず。
「シェイプ・オブ・ウォーター」は、世界で最もデル・トロによるクリーチャーがいかに素晴らしいかを知らしめた作品でもあります。
オスカーにもつながった本作は、ストーリーはもちろん、繊細でリアルすぎる半魚人が美しく印象的です。
「ヘルボーイ」でも描かれてきた半魚人が、より美しく強くなっていると言っても過言ではありません。
その姿がリアルであるのはもちろんですが、「実際に半魚人が生きていればこうなるであろう」的な設定が本当に的確で、ストーリー全編通して違和感ゼロなんです。
R15ならではですが、半魚人とヒロインのイライザは恋仲なので、性行為ももちろんあり。
そんな２人の状況を具体的に描写せずに、ジェスチャーや雰囲気だけですべて伝わるよう作り上げた演出はさすがです。
半魚人との性交渉を恥ずかしそうに語るイライザは、
半魚人の下半身がどうなっているかをジェスチャーでリアルに友達に説明します。
思わず笑うシーンですが、不要な描写はないのに2人の愛が伝わってきます。
デル・トロファン好きになりそうな方は、ぜひ「ヘルボーイ」も視聴することをおすすめします！
脇役の人生ストーリーも印象的
「シェイプ・オブ・ウォーター」では、半魚人とヒロインとの恋が主軸です。
しかしそれだけではなく、ヒロインの友人である黒人女性ゼルダの夫婦問題や、ヒロインの隣人のゲイ、ジャイルズの苦い恋物語もしっかり描かれています。
ゼルダは肝っ玉母ちゃんのようなイメージで描かれていますが、モラハラ夫に悩まされています。
ジャイルズは行きつけのパイ屋さんのイケメン店員に恋をして勇気を出してアタックしますが、非常に冷たくあしらわれてひどく傷つきます。
主人公たちを取り巻く人々が抱える苦悩も、とてもリアルで身近に感じられてしまいます。
特にジャイルズがこっぴどくフラれてしまったシーンは、なんだか心苦しくて忘れられません…。
でも、ちゃんとその救いがあるところまで本作で描かれています。
恐怖や苦痛も多い映画ですが、辛いことや絶望があっても、たとえ脇役でもちゃんと救われちゃう優しい映画なんです。
考察｜過激な性描写も受け入れられてしまう不思議さ｜半魚人と人の愛
イライザは年を重ねても一人暮らしの孤独な女性。
そんな彼女の日常をストーリー序盤で描いているのですが、いきなり度肝を抜かれるような性描写もあり、かなりびっくりさせられます。
映画がはじまってすぐだったので、「何この映画？どういう路線？？」と不信感も芽生えました…。
でも、それすらもすんなり飲み込めていくストーリー展開でした！
半魚人とヒロインのイライザは恋仲なので、性行為ももちろんあり。
でも２人の性行為を実際に描写するのではなく、ジェスチャーや雰囲気だけで何が起こったかをすべて伝わるよう作り上げた演出はさすがです。
半魚人との性交渉を恥ずかしそうに語るイライザは、
半魚人の下半身がどうなっているかをジェスチャーでリアルに友達に説明します。
思わず笑ってしまいますが、2人の愛が伝わってくるシーンです。
また、痛そうなシーンも少なくありません。
半魚人に指を切り落とされる軍人ストリックランドは、その指をくっつけようと長期間包帯でグルグル巻きにしていましたがもちろんくっつくわけもなく…。
指が異臭を放って腐り落ちそうになっているシーンは印象的。
しかし、ストーリーの主旨が性や暴力の描写を中心したものではないので、全体を通してみるとあまり気になりません。
主旨は、半魚人と人が見えるものにとらわれず愛し合い、愛に救われるストーリーです。
耳の聞こえず辛い目にあってきた女性と、実験と金儲けの道具として扱われたモンスターが、お互いの愛で本当に自分に出会うことがかないます。
ラストシーンにて、川に落とされ死ぬはずのイライザ。
でも半魚人に抱かれ、首の傷跡がエラに変化し水の中で呼吸できるようになるんです。
もちろんそこには、理由や根拠の説明などありません。
でも、イライザにとってずっと辛い思い出の象徴だった傷は半魚人と生きるための鍵だった、というストーリーの流れはただただ感動。
辛い体験や苦しい過去は、トラウマになるだけのものではなく幸せへの道しるべになる希望を与えてくれます。
デル・トロが生み出す作品は、いつも「愛」や「どう生きるか」を深く問われている気持ちになります。
まとめ
ここまで、映画「シェイプ・オブ・ウォーター」の魅力やあらすじを説明しましたが、いかがでしたか？
デル・トロの世界観は一度見るとドはまりする人も多いほど、奥深くて魅力的です。
ぜひそのほかの作品もチェックしてみてください！
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