【SMILE スマイル】ネタバレ感想と考察｜「呪いの連鎖」好きは最高！トラウマ級の笑顔が怖すぎ

「SMILE スマイル」は2022年に公開されたアメリカのホラー映画です。

ほぼ無名だったパーカー・フィン監督により低予算で作られた本作は、予想外のスマッシュヒットとなり、2024年10月には続編も公開予定。

ホラーを楽しむにはありがたい分かりやすいストーリー、恐怖が途切れることのないテンポよい進行、物語が進むほどに恐怖が掻き立てられ、ちゃんと謎解き要素がラストに回収されて続編も期待できる終わり方…。

と、マイナス要素の少ない良作映画なんです！後味は悪めです！

そしてキャストそれぞれの「スマイル」が本当に怖い…。

主演はハリウッドの名優ケヴィン・ベーコンの娘、ソシー・ベーコン。
父親似の彼女は、日本語で表現すると「幸薄い」がぴったりきそうな儚い印象で、だからこそホラーにしっくりくる女優です。

有名キャストはいないのに、誰しもが「不気味な笑顔」のお手本とも言えるような恐ろしい表情をみせてくれて、目が笑ってないその笑顔がストーリをさらに惹きたてます。

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【SMILE スマイル】あらすじ

精神科医のローズは、ある日対応した患者の女性が恐怖におびえながら「自分にしか見えない人がいる」と訴えます。
その女性は、その人物が自分に笑顔を向けてくるという恐ろしい体験を語りだし、それが大学で教授の自殺を目撃してしまったことから始まっている、と言います。
最初はいつものカウンセリングと同じように対応するローズでしたが、急に女性が苦しみだしたかと思うと、その次の瞬間には不気味な満面の笑みを浮かべ、自分の首をかききり自殺するのを見て混乱してしまいます。

ローズは患者の不可解な死に恐怖と疑念をいだきつつ、婚約者の支えもあってなんとか平穏に過ごそうとつとめますが、徐々に彼女の周辺に不可解な出来事が起こり始めます。
しかしローズの婚約者や職場の人間は、彼女の言うことを間にうけず彼女の精神を心配します。
ローズは患者の死因を解明しようとしますが、それはより一層周囲の不信感を強め、そして彼女は徐々に自分に起こっていることが、自殺した患者と同じ状態なのだと気づき始めます。

ローズは元彼で警察官でもあるジョエルに頼り、自殺した女性に何があったかを突き止め、さらに自殺者をたどり遡っていくことで、「自殺を目撃した人は数日後に残酷な自殺をする」が繰り返されている、という事実を突き止めます。
その過程で、自殺を目撃したのに生き残ったある男を見つけ、会いに行くローズ。
男は人を殺して牢屋の中におり、ローズとジョエルは刑務所まで向かいます。
男が生き残れた理由は、誰かの前で残酷な方法で誰か（自分の代理となる人）を殺し、そのトラウマを目撃者に植え付けることでした。
つまり「残酷な方法で死んだ人間を見ることで呪いは映っていく」というわけです。

呪いの仕組みを理解したローズは、「目撃者がいない状況で自殺すればいい」と考え、今は誰も住まない廃墟状態の実家に閉じこもります。
ローズの実家は母親が自殺した場所でもあり、彼女にとっては深いトラウマの残る場所だったので、ローズは心の奥底にある恐怖を幻覚に見て、それが呪いなのかトラウマなのか分からなくなっていきます。
さらに、ローズは誰にも知られず自殺するつもりだったのに、元彼のジョエルがローズの居場所を突き止め実家にやってきてしまい…。

SMILE スマイル】ネタバレ感想｜呪いが他人にうつっていくのはホラーの定番

怖い笑顔がトラウマ！

恐ろしい笑顔と、分かりやすいストーリーでそこそこ怖い、本作はそんな絶妙さでホラー良作としてかなりヒットしました。

グロとまでは言いませんが、痛そうなシーンは何度かあるので、苦手な人は目をそらしましょう。

とにかくトラウマになりそうな不気味な笑顔が印象的な本作。

ジャケットでもある怖い笑顔は、物語冒頭でいきなり自殺する女子大生。
あれだけ口角がしっかり上がってるのに目が笑ってないって、すごいですよね。
あのジャケ写が不気味で恐怖をそそるのは、人間は本能的に「目が笑ってない笑顔」に恐怖を感じるからなのでしょうね。

ラストでは「呪い」の正体であろうものが姿を現すのですが、これがなかなか期待を裏切らない恐ろしさです。

低予算ホラーで序盤が良い具合に怖い映画は、ラストは意味不明な化け物や展開に入り込みグダグダになる作品も少なからずありますよね。
でも本作は序盤の流れをしっかり汲み取り謎も回収し、かつ主人公のトラウマ過去もうまくそこに組み入れて違和感ゼロに仕上げているので、ホラーの世界に没入できます！

終盤は、主人公ローズが自殺のループを終わらせるよう廃墟となった実家に閉じこもり、そこで見殺しにした母親の幻影に悩まされつつ、呪いの正体を目の当たりにします。

それは巨大で細長く、予想通りの恐ろしい笑みを浮かべています。
なんと言ってもゾッとするのは、その「呪い」はローズの口を縦にながーく引き伸ばし、その中にゆっくり入りこんでいくのです。

ある意味シュールで面白くなっちゃうかもしれない一場面。
でもそこまでの展開がテンポ良いホラーなので、笑わず真剣に見れちゃいます。

冒頭、「恐怖で絶叫していた女子学生が見ていたのはこれだったのか！なるほど！」と納得のいくシーンでもあります。

【SMILE スマイル】考察｜「呪いの連鎖」に込められたメッセージ

「SMILE スマイル」は笑顔で自殺した人間を見た人が自殺し、さらにそれを目撃した人もいずれ笑顔で自殺していく…。という、「呪いの連鎖」を描いています。

「SMILE スマイル」での「呪い」はどんなメッセージ性が込められているのでしょうか？

「SMILE スマイル」の紹介サイトにより色々な考察があるかと思いますが、私自身が実際に映画を観て感じたのは「トラウマに立ち向かう難しさ」と「トラウマに立ち向かうときは孤独である」です。

笑顔で自殺する呪いにかかってしまった人は、作中では誰しもトラウマと言えるものを抱えていました。

主人公ローズも、呪いにかかってから自分のトラウマな過去を少しずつ掘り起こし対峙していくこととなります。
対峙した呪いに立ち向かい、自分の力だけで解決しようとしている彼女の姿は、「過去のトラウマを払拭できるのは自分自身」と捉えることもできます。
でも結局ローズは呪いに殺された上、殺されるシーンを一番大切なジョエルに目撃させてしまう、という最悪の終わり方なんですが…。

この上ないバッドエンドなので、考察の先に救いはありません。

人は誰でも「トラウマ」と言えそうな心の傷を持っている人がほとんどですよね。

ちなみに「呪いの連鎖」をストーリーにしたものであれば、有名なのは「呪怨」や「リング」、洋画なら「イット・フォローズ」などが思いつきやすいところでしょうか。

「呪い」にこめられたメッセージは作品により異なります。
「リング」であれば「運命や血筋にとらわれた古きにわたる不幸と、それに立ち向かう絆」とも読み取れますし、「イット・フォローズ」であれば、若者を危険にさらず性病やドラッグを暗喩しているとも言われています。

どれもメッセージ性や怖さが異なるので、興味がわいたら色々見てみることをおすすめします！

まとめ｜きれいにまとまっている秀逸ホラー。

「SMILE スマイル」は有名どころのキャストなしにスマッシュヒットをかましただけのある、良作ホラーです。

ストーリー、テンポの良さ、演出や演技、どれも念入りに作り上げられ違和感なく一気見出来ちゃいます。

不可解な呪いなど好きなホラーマニアは必見です。
ラスト間際の「呪いの正体」は賛否分かれそうなのでご愛敬。