【クローバーフィールド HAKAISHA】ネタバレ感想と考察｜リアルな人間心理とラストに隠された真実

監督 マット・リーヴス
脚本 ドリュー・ゴダード
製作 J・J・エイブラムス、ブライアン・バーク
製作総指揮 ガイ・リーデル、シェリル・クラーク
音楽 マイケル・ジアッチーノ
撮影 マイケル・ボンヴィレイン
編集 ケヴィン・スティット

マイケル・スタール＝デヴィッド（ロブ）
ジェシカ・ルーカス（リリー）
オデット・ユーストマン（ベス）
マイク・ヴォーゲル(ジェイソン）
リジー・キャプラン（マリーナ）
T・J・ミラー（ハッド）

【プロローグ】
この映像はアメリカ国防総省により記録された画像であること。
セントラルパークで回収された「クローバーフィールド」という暗号名の記録映像であるという文面が流れます。

【前半】
4月27日、早朝ベスのアパートで、べスの寝起きの様子をカメラにおさめているロブ。
目が覚めそれに気づいたべスがロブとじゃれあい、とても幸せそうな様子が映ります。
画像が乱れ、5月22日（もともと撮影されていたロブのカメラ映像に上書きで録画されているという設定）。
ジェイソンが弟ロブのビデオカメラを借りて、ロブのためのサプライズパーティーを準備している様子が映し出されます。
カメラの前を早歩きで進んでいくジェイソンの恋人リリー、そして画面が変わり、ロブが昇進して日本へ転勤となるためパーティーに参加する面々からのお祝いの言葉を録画させようと、ジェイソンが友人ハッドにカメラを託します。
ハッドはサプライズパーティーの準備中であるリリーなどから祝辞を撮影し、片思いのマリーナを見つけて祝辞を理由に話しかけたりしています。
そこへロブが帰宅、サプライズするためにみんなは大慌て。
ロブが扉を開けた瞬間にみんなでお祝いをして盛り上がります。
パーティーを楽しむ人々の中で、べスが見知らぬ男性を連れて訪れたためロブの様子がおかしくなります。
ハッドはべスにも祝辞をお願いしますが彼女も様子がおかしく、その後ベスとロブは部屋の外で口論しており、ハッドは隠れてそれを撮影していたためとがめられてしまいます。
ベスは、ロブが日本へ転勤になることを知らされておらず、それでロブを責めていたのでした。
結局ベスは帰宅し、ジェイソンとリリーはベランダで落ち込むロブを慰めます。
そのとき突然、激しい震動がアパートを襲い一同はパニックになります。
ベランダから部屋に戻った彼らは、ブルックリン沖でタンカーが転覆したというニュースが流れているのを見て、パーティーの参加者たちは様子を見るためアパートの屋上に上ります。

【中盤】
街の先には大きな爆発とともに、大きな火の玉がアパートのほうにまで次々に飛んでくるのが見えました。
屋上に上っていた人々は今度は慌てて屋上から駆け下りアパートの外へ逃げ惑います。
そこへ恐ろしい轟音が鳴り響いたかと思うと、アパート前の狭い通りに自由の女神の頭部が落ちてきます。
轟音と震動は続き、空は赤く戦争のような街の向こうで巨大な何かが高層ビルを壊し倒しているのが一瞬カメラに写り、一同はそれを見ようとしますが、そこに轟音や唸り声が聞こえ誰もがパニックになり混乱していました。

事態不明の状況の中で、ロブとジェイソンの兄弟、そしてリリーとハッド、マリーナは街から逃げようとブルックリン橋を渡ろうとしますが、橋は逃げ出そうとする人々で埋め尽くされており、橋の付近ではタンカーが炎上していました。
橋の半ば近くまで来たとき、ロブの携帯にベスからの着信が入りますが、周囲の混乱状況のためほとんど話すことはできません。
そんなとき、橋の真上に巨大で長い「何か」の尻尾らしきものが現れ、それは橋のど真ん中に振り落とされます。
ジェイソンはその尻尾の真下におり、人々とともに橋は崩落し、恐ろしい混乱が訪れます。
崩れていく橋から逃げ出す人々、その中にロブ、リリー、マリーナ、ハッドもおり命からがら橋から逃げ出します。

ロブはベスを心配して携帯で電話しようとしますが充電が切れており、暴動状態の街中でロブも電気店に紛れ込み充電器を盗んでベスの留守電を聞きます。
それは、突然襲ってきた何かで崩れたであろうマンションの中で助けを求めているベスの声でした。
ロブを追い電気店に入ったリリーたちは店内テレビに流れている映像で、醜く長い尻尾の巨大な「何か」が街と人を踏みつぶしている様子と、「何か」からぼろぼろと小さく素早いクモのような生き物が落ちてきて周囲の人々に襲い掛かっている様子を見て、戦慄します。

ロブはベスを助け出すため彼女のマンションに向かうと言いますが、リリーたちはそれに反対。
しかし結局ロブは折れず、リリー、ハッド、マリーナはロブについていくことになってしまうのでした。
ベスのマンションへの道すがら、通りのどこからか銃声と巨大な悲鳴、唸り声が聞こえてきて、あっという間にそこいらが戦場のようになり軍隊と姿を現した「何か」、軍隊はロブたちを無視して一斉射撃を始めます。
ロブたちは慌てて付近の地下鉄の駅に駆け下り、誰もいない地下鉄駅のホームで彼らはどうやってベスのマンションへ向かうか、これからどうするかなどを考え脱力していました。
しかし一向に外の銃撃がやむ気配はなく、地下鉄内の線路を歩いてベスのマンションまで歩いていこうと決断した彼らは、真っ暗な地下鉄線路をハッドが持つカメラのライトで細々と照らしながら歩んでいきます。
しばらくすると、後方から物音がしてそれとともに一斉にネズミの群れが押し寄せロブたちを追い越して走り去っていきます。
ロブは不審に感じハッドのカメラを暗視モードにさせます。
暗視しながら周囲を見回すハッドは、マリーナの後方でトンネルの天井から大きなクモのようなものが落ちてきたのを見つけます。
ハッドが声をかけたときには遅く、クモのような何かがマリーナに襲い掛かり食いつきます。
ロブ、リリー、ハッドは必死にクモを引きはがし、地下鉄トンネル内の小部屋へ逃げ込みますがマリーナの傷はかなり深く彼女自身も辛そうな様子でした。

【後半】
一行はその場所から地上へ上がれそうなところを探しショッピングモールのような場所に迷い込みます。
しかり急にマリーナの様子がおかしくなったとき彼らの前に軍隊が現れ、モール内の軍隊キャンプに連れていかれるのでした。
軍隊たちに様々な質問をされる中でロブは恋人を助けに行きたいと話し、士官に止められます。
ロブと士官が話し合っているとき、急にマリーナが真っ青になり周囲の軍人たちが「彼女は咬まれている！」と騒ぎ出し、無理やりマリーナを近くのテント内へ引っ張っていきます。

テント内で連れていかれた直後（外からは人影が見えている状態）、マリーナの体は風船のように膨れ上がり、はじけとび血しぶきが飛び散っていました。
結局、ロブはベスを助けに行くことをゆずらないため士官は折れ、ニューヨーク一帯は空爆される予定にあることと救難ヘリの時間を教えてくれます。

ロブ、リリー、パッドはベスのマンションへ走り、やっとその場所まで来ますがベスのマンションは倒壊しかけ隣のマンションによりかかっている状態。
ロブたちは隣のマンションの高層階まで登り、乗り移ることにしました。
なんとかベスの部屋までたどり着いた彼らですが、ベスは倒壊した部屋の鉄骨に肩をつき抜かれており、ロブたちが必死に鉄骨を引き抜きます。
なんとか痛みに耐えるベスを支えて、途中クモのような怪物を倒しながらもロブたちはマンションから逃げ出します。

救難ヘリを目指す一行は、その途中も巨大な「何か」と軍隊の熾烈な砲火の中を走り抜け、なんとかヘリに乗り込みます。（ヘリの人数上、リリーだけ別のヘリに乗せられてしまいます）
ヘリから巨大な怪物を見下ろし、その異形に恐怖しながらも逃げおおせたことに安堵する彼らでしたが、攻撃にあった怪物の長い手がヘリに伸びてきて叩き落されてしまいます。

セントラルパーク内に墜落するヘリ。

ロブは墜落の際にけがをしましたが、ベスとハッドに助け出されなんとかヘリから抜け出します。
そのまま逃げようとしている3人のところに怪物がやってきて、ハッドは怪物に食い散らかされ、ビデオカメラに頭部だけが映し出されていました。

そして残されたロブとベス。
2人はセントラルパーク内を逃げ、パークの小さな橋の下に身を隠します。
恐怖におびえるベスを抱きしめ、覚悟を決めたロブはビデオカメラに遺言のようにこれまでの出来事と状況を吹き込みます。
「愛してる」と二人が言い合うのと同時に爆撃がセントラルパークを襲い、ビデオカメラの映像は途絶えます。

そして4月27日の映像が再度流れるビデオカメラ（上書きで録画されていたため、録画画像が終了してもともとの画像が再生された、という設定）。
その日の終わりであろう夕焼けの時間帯に観覧車に乗り、1日の喜びを語り合うロブとベス。
「素敵な1日だった」とベスが微笑み、映像は終了します。