「コララインとボタンの魔女」は2010年にアメリカで作られたアニメ映画です。
イギリスのSF作家ニール・ゲイマンによる原作でヒューゴー賞を受賞しています。
監督は、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズで修業を積んだヘンリー・セリック。
40年以上経ってもカルト的な人気を誇る「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(ティム・バートンは製作担当)や、コララインと同じく児童文学原作の「ジャイアント・ピーチ」の監督をつとめており、本作にも異才が発揮された大人でも楽しめるブラック風に目に仕上がっています。
起用された声優は、アメリカでも日本でも有名どころが続々。
主演のコララインは、「マイ・ボディガード」などからの子役で知られるダコタ・ファニング(日本語版:榮倉奈々)、恐ろしい魔女は「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」でのボンドガールをつとめたテリー・ハッチャー(日本語版:戸田恵子)、怪しげな黒猫は「遊星からの物体X」以降名作で演じてきたキース・デイヴィッド(日本語版:劇団ひとり)、
などなど。
ちょっと怖い風な映画ではありますが、ホラーというほどではありません。
アニメ映画ということもあり、「怖いっぽい」くらいが平気なら子供でも見れます。
うちは、長男は怖がりで無理ですが次男は本作が大好きです!
独特な雰囲気なので、はまる人は大好きになってしまう映画です。
ティム・バートンが好きな人、ストップモーションが好きな人、もしくは「ナイン 9番目の奇妙な人形」「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」「コープスブライド」などのアニメ映画が好きな人はきっとはまります!
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映画【コララインとボタンの魔女】のクレジット
スタッフ
監督 ヘンリー・セリック
脚本 ヘンリー・セリック
音楽 ブリュノ・クーレ
撮影 ピート・コザチク
キャスト
コラライン・ジョーンズ:ダコタ・ファニング(日本語吹き替え:榮倉奈々)
メル・ジョーンズ(コララインの母親)/ボタンの魔女:テリー・ハッチャー(戸田恵子)
チャーリー・ジョーンズ(コララインの父親)/別のパパ:ジョン・ホッジマン(山路和弘)
黒猫:キース・デイヴィッド(劇団ひとり)
ワイボーン・“ワイビー”・ラヴァート:ロバート・ベイリー・Jr(浪川大輔)
ミス・スピンク:ジェニファー・ソーンダース(小宮和枝)
ミス・フォーシブル:ドーン・フレンチ(宮寺智子)
ワイビーの祖母:キャロリン・クロフォード(定岡小百合)
ボビンスキー:イアン・マクシェーン(斉藤志郎)
【コララインとボタンの魔女】あらすじ
ピンクパレスアパートに引っ越してきた少女コララインは、両親は園芸の専門書を書き上げるのに必死でいつも放置されていて、新しい家でも退屈に過ごしていました。
ピンクパレスアパートの住人は変人ばかりで、近所の男の子はイジワルで、気味の悪い黒猫までいます。
ある晩、アパートの部屋の壁に、小さな封印されたドアを見つけたコララインは、なんとか母親をだまして鍵を盗み出し、一人でドアを開けてみます。
ドアの奥には細長い小さなトンネルが続いており、そこを通り抜けると、またピンクパレスアパートに出てしまいました。
夜遅いはずなのに、キッチンにはいつも料理をしない「別のママ」が立っています。
コララインが声をかけると、なんと振り返った「別のママ」の目はボタンでした。
トンネルを抜けた世界では「別のパパ」も「別の」ママもボタンの目で、現実の両親とは違い、いつも上機嫌でコララインに優しくて楽しくて、コララインはその日から異世界のことが忘れられず、夜になるとトンネルを通って遊びに行きました。
異世界ではいつも、自分の部屋のベッドで眠ると翌朝には現実世界に戻っているのです。
ある夜も遊びに行きましたが、その日はしゃべる黒猫に遭遇します。
現実世界と同じ怪しげな黒猫ですが、なぜか異世界では人間の言葉を話し、異世界の危険性を話しますが、突然どこかに消えてしまいました。
その後もいつも通り楽しい時間を過ごした後、別のママはコララインにある箱を差し出しました。
そこに入っていたのは2つのボタン。
異世界の両親は、コララインに「ボタンの目にすれば、ずっと私たちといられる」と言います。
恐ろしくなったコララインは、自分の部屋のベッドにかけこみます。
布団にくるまって何とか眠りについたコラライン、目覚めたら現実世界かと思いきや、そこは異世界のままでした。
戻れないままとどまった異世界は何か変で、いつも明るいはずの別のパパはどんよりとして暗く、コララインは恐ろしくなって家の外に逃げたところ、また黒猫に遭遇しました。
黒猫とともにしばらく歩くと、世界は真っ白になり、「異世界のはしっこ」まで来たのだと黒猫は説明します。
黒猫は異世界や「別のママ」の正体を教えてくれます。
コララインは自分が楽しんでいた異世界の正体に気づき、別のママに直談判しに行きます。
そこで正体を現した別のママは恐ろしい魔女で、コララインを異世界から出さないよう、隠し部屋に閉じ込めてしまいます…。
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【コララインとボタンの魔女】ネタバレ感想と考察
独特な世界観と映像美と、二度見したくなる並行世界
監督ヘンリー・セリックは、ピクサーで修業を積み、ティム・バートン製作の「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」の監督もつとめ、個性的で心に残る映像センスに長けたプロです。
コララインでも色彩の個性が強く、全体的にダークな色合いですが紫や赤っぽい色調を感じる作りなので、ただ黒い感じではなく、どこかしかオシャレ。
私は色彩のことは詳しくないので感じた色合いで説明していますが、とにかく「ダークなのに暗くない」と感じさせくれる不思議な色味で描かれているんです!
特に印象的なのは、コララインにとってはつまらない現実世界は灰色っぽくさびれた雰囲気で描かれているのに対して、「別のママ」がいる異世界はダークでも色鮮やかなんです。
現実世界をあえて暗く少ない色で描き、現実外の世界を鮮やかに描くのは、ティム・バートンの「コープスブライド」でも同じです。
ピクサー時代から交流の深かったティム・バートンとタッグを組んで名作を作り出してきたヘンリー・セリックならではな世界観が、コララインの映画にもしっかりと出ています。
映像美でだけなく、本作で注目すべきは現実と異世界での「並行世界」状況になっていることです。
現実のママパパが行方不明になってしまい、異世界へ探しに行くコラライン。
小さなサインを見つければ、きっと異世界でママパパを探しだせる…。
「そのサインがいつからあったのか?」と、何度も見返して確認したくなるような絶妙なサスペンスです。
特にスノードームや扉の鍵など、「あのシーンではどうなってたっけ?」と、見返して確認したくなる箇所が結構あります!
流れは分かりやすいお話ですが、細やかな演出が込み入っているので複雑に感じるストーリーに仕上がっています。
大人も子供も楽しめる!怖いけど楽しい
独特な絵柄のアニメ映画である本作は、少し怖い雰囲気でも平気な子供であれば親子で視聴可能です。
うちは長男が怖がりでまったく見れませんでしたが、
ホラー映画好きな次男は5歳くらいから本作を結構見てました!
大人、子供それぞれが楽しめる要素がいっぱいです。
大人が楽しめる要素
・いかにも伏線がありそうなシーンや映像がいっぱいで目が離せない
・大人都合の子供が寂しいシーンが多く、気になってしまう
・家庭環境や社会状況などブラックで風刺がきいたストーリー構成
・魔女は大人にとっては悪役、子供にとっては救世主
・殺風景な部屋や家具にがどう変わるのか見たくなる(夢の中ではおしゃれな家に仕上がっている)
・思春期の子が陰では親の愛情を求めている姿がリアルに感じられる
・偽物甘やかしママが魔女、というオチは大人にとっては腑に落ちる
子供が楽しめる要素
・引っ越したばかりの家、謎の扉にワクワク
・おかしな隣人にビクビク、ワクワク
・過去に行方不明になった子供たちが気になりすぎる
・日常生活のすぐそこに異世界が存在するのがワクワク
・異世界では知っているはずの人間が別人になっているのワクワク
・異世界へのトンネルが日によって開いたり閉じたりしているのがドキドキ
・自分に似ている人形、怪しげな黒猫などのサスペンス展開で目が離せない
ちょっと怖い雰囲気の映画であり恐ろしい魔女も出てくるので、怖がりの子には見せない方がよさそうです。
子供も楽しめそうなミイラ映画、こちらにあります!
考察|親子の求めるものが皮肉に映し出された世界
本作はかなり社会風刺も入っている映画です。
子供はただ親と話したいだけなのに、親は「子供のため」と仕事に時間と労力を費やし歪みがふくれあがっていく家庭の様子を、魔女や異世界の設定で描いているともとらえられます。
ストーリー構成としては、現実にありそうな設定に例えるとこんな感じです。
親との不和から逃避する娘
⇒逃避先で困難にぶつかる
⇒親元にうまく戻ることができない
⇒娘の世界が崩壊の危機
⇒何かしらの助けを得て、親との関係も再構築し始める
本作を二度見した場合には、現実から逃避しようとするコララインと逃避先の世界の崩壊がより分かりやすく感じられるはず。
魔女が怖い設定よりも、家庭環境やコララインの逃避している心理が気になるかもしれません。
特に、異世界が崩壊し始めたときのコンピューターが壊れたように崩れていく世界や、少しずつ朽ち果てていく家の内部がコララインの精神世界を表しているようで印象的です。
異世界の崩壊はコララインの逃避世界の崩壊と同義で、両親からの愛情不足によって子供の世界は崩壊することもありえる、ともとらえられます。
親として本作を見ると、何度も見返していくうちに親としてのあるべき姿を考え込んでしまうかもしれません…。
「親とは」と問う映画として、問題作とも言えるラストのこちらは一度は通ってみてください!
まとめ|大人と子供で楽しみ方が変わる、奥深い個性派映画
「コララインとボタンの魔女」は、記憶に残る映像、ミステリアスで目が離せなくなるストーリーとキャラクター、何度も見ることで視点が変わる不思議な映画です。
好き嫌いは分かれる映画ですが、ハッピーーエンドなので気になれば一度は見てみることをおすすめします。
ハッピーエンド?な見やすいホラーはこちらも!
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