【アイ・アム・レジェンド 】ネタバレ感想と考察｜ゾンビ映画好きなら必ず通る！ラスト3秒まで感動

「アイ・アム・レジェンド」は2007年に公開されたSF映画です。

「コンスタンティン」「ハンガー・ゲーム」シリーズを手掛けたフランシス・ローレンスによる初期作品です。

ウィルス感染により人類の大半が死滅、残りのほとんどが日光にあたれず理性を失った凶暴なゾンビ状態となり世界は壊滅状態。
そこに生き残ったウィルス耐性を持つ男が、孤独と戦いながら地球を救おうとする話。

まるで現実に裏付けがあるかのようにリアルな細かい設定で、VFXでニューヨークが本当に無人になったかのように、ハリウッドあるあるっぽいストーリーを壮大なヒューマンドラマに仕立て上げています。

キャッチコピーの「地球最後の男」は、実際にはたくさん生存者がいるので全く正しくないんですが…。

ゾンビ映画にはたくさんのパターンがありますが、本作ではウィルス発生の経緯や医学的な説明がしっかりあるという設定のウィルス感染で、「以前は人間だった」ことがリアルに感じられるストーリー、そして特殊メイクとVFXです。

クリーチャー好きは観ておきたくなる映像と世界観です。

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映画【アイ・アム・レジェンド】のクレジット

【アイ・アム・レジェンド】あらすじ

2009年、アメリカでアリス・クリピン博士により画期的ながん治療薬が作られ、1万人以上がガンを克服しました。

しかしその報道から一転、3年後の世界は人類のほとんどが姿を消し、都市は半野生化していました。
そんな木の生い茂るニューヨークを、猛スピードで車で走り抜けるロバート。
鹿が駆け抜けライオンがそれを駆るニューヨークで、ロバートはただ一人の人間として愛犬サムとともに壊滅したニューヨークで自宅を鉄壁な守りにして生き抜いていました。

ロバートは2009年時は米軍陸軍中佐であり、医学博士でした。
クリピン博士によるがん治療薬は治療した患者の多くに異常が発生し新種のウィルスへ変異したことが判明、異常に感染率の高いそれはクリピン・ウィルスと名付けられ致死率は90%、人類のうち10％が免疫を持つものの生き残っても体毛を失い日光を避け理性を失い、凶暴なゾンビのような状態の「ダークシーカー」になってしまうのです。
妻と子を失ったトラウマに苦しみつつも、ロバートは愛犬サムとともに人のいないニューヨークで生き抜き、ウィルスを消せるワクチンを研究し続けていました。
ロバートは医学博士であったため、ニューヨークの自宅を鉄壁の守りにしてダークシーカーたちから身を守り、孤独な規則的な生活を送りながらも、日々地下の実験室でワクチンの開発を進めていたのです。
愛犬サムとともに、壊滅した世界で強く生き抜いているように見えるロバートでしたが、亡き妻と子の夢を見ながら日々孤独にさいなまれつつ、なんとか規則的に無感情に日々を乗り越えていました。

ある日、愛犬サムが鹿を追って廃墟のビルに迷い込みます。
昼間でも暗闇がある場所はダークシーカーたちが住みつき、迷い込んだ動物たちを襲い血をすすっています。
サムを失う恐怖に半狂乱になったロバートは廃墟に入り込み、ダークシーカーに見つかりながらも命からがら脱出。
ロバートはワクチン開発のため実験体がほしいために、廃墟に罠を仕掛けてダークシーカーの一人を生きたまま捕獲することに成功します。
強力な麻酔でダークシーカーを眠らせワクチンの実験をするものの、なかなかうまくいかないことに苛立ち苦しむロバート。

さらに数日後、サムとともに出かけた街中（だった所）で、ロバートが褒めていたマネキンが立っているのを見つけます。
ロバート以外に人間のいないニューヨークで、元々あったはずの場所から遠い場所にきちんと設置されたマネキンを見てひどく混乱するロバート。
実はそれは、知性のあるダークシーカーがロバートを陥れるために仕掛けた罠でした。
マネキンに近づいたロバートは、一瞬の間にワイヤーに足を取られ宙づりに。
意識を失い、気づいたときにはダークシーカーが騒ぎ出す夜が目の前に迫る夕暮れ時で、愛犬サムがロバートの目を覚まそうと必死に吠えています。
なんとか宙づり状態から脱したロバートでしたが、負傷して歩くことも難しく、なんとか下半身をひきずって車まで進もうとします。
しかし夕闇は少しずつ暗闇に変わり、襲い掛かろうとしたダークシーカーと愛犬サムが戦い、サムは激しく負傷。
サムを心配しながらなんとか自宅にたどりつくロバート。

地下の実験室でサムをなんとか生かそうと尽くすロバートでしたが、彼の尽力も虚しくサムはロバートの腕の中で息絶え、そのままダークシーカー（犬でも感染する）となりロバートに噛みつこうとします。
ロバートは必死に涙をこらえながら、サムを抱きしめていた腕をゆるめず、噛みつこうとしているサムをそのまま絞め殺すのでした。

1年間、孤独を生き抜いたロバートの唯一の友達である愛犬サムが死に、ロバートは自暴自棄になり…。

【アイ・アム・レジェンド】ネタバレ感想と考察｜孤独を楽しむゾンビ映画

痛いくらいの孤独…。主人公は鋼メンタル過ぎて違和感も

キャッチコピー上、ロバートは地球で唯一生き残った男です。
（ストーリー上は実際には他に生き残りはたくさんいますが）

広大な都市が野生化したニューヨークで愛犬とともに生き抜くロバートは、孤独ながらも規則正しい生活を送りつつ人、ウィルスを治すワクチン開発のため地下室で研究を重ねていたのでした。

そんな強靭なメンタルのロバートでさえ、たった一人で生きるのは常軌を逸してしまいそう。
だれもいないレンタルビデオ店に定期的に通って、DVDをレンタルし返却するという無意味な行為で文明下の人間らしさを保とうと必死です。
それはもう痛々しく、気を紛らわせるためにレンタルビデオ店に女性マネキンを設置して、そのマネキンに恋したふりをして独り言で頬を赤らめるほど。

彼の孤独を表すシーンはそれだけではありません。

家族を失う瞬間を夢に見て目覚める、絶望から始まる朝。
過去の録画ニュースを見て時間と季節の感覚を保とうとする日常。
正気を保つために規則正しい生活と食事と筋トレをして、人間らしく生きようとする必死さ。

何よりも愛犬サムを失うかもしれない恐怖を痛々しいほどに表している表情、サムが重傷を負い死んでしまったときの絶望と悲しみの表情は胸がつまります。

ウィル・スミスの孤独に耐える演技は心打たれること間違いなし。

ただ、「誰もいない世界でこんな風に生きていけないでしょ…。」って思ってしまう人も多いはず。
そこは、ウィル・スミス演じる軍医ロバートのメンタル強すぎ、でスルーして楽しむことをおすすめします！

孤独なゾンビ映画はこちらでも楽しめます。

ありそうでなかった、かなり人間寄りのゾンビ

ウィルス感染により理性を失い紫外線に弱くなってしまったのが本作でのゾンビ「ダークシーカー」。
（和訳すると「暗闇を探す者」）。

ダークシーカーがゾンビらしからぬ特徴を持っている部分は
「人間らしさがすごく強い」
「人間的感情（憎悪や殺意）がかなり残っている」
です。

仲間を捕獲され、日光にあたれば死滅するにも関わらず怒りのあまり日光下へ姿を現すところや、
ロバートの孤独を読み取り、お気に入りにマネキンを移動させてロバートを動揺させたり、など。
理性を失っているように見えつつも、仲間意識があったり人間を観察している知性があったりと、他作品にはない複雑なゾンビとして描いています。

本作ではゾンビのアップや生態観察的なシーンも多いので、「こういうゾンビなのか～」とマジマジ見ることができるもの楽しめるポイントです。

感染者が元人間であり、感情がそこにあることを重視しているからこその演出なんだろうな～と、何度も見返していて感じました。

考察｜孤独より恐ろしいものはあるのか

本作は、ゾンビものである点や無人のNYなど、色々見所はありますが、とにもかくにも「人間は孤独で狂う」そして「人間に救われる」をきれいに描いている一作で、主人公を失いつつも後味も良い方です。

本作を見た中では、実際に自分が同じ状況なら「こんな状況なら服なんか着ないで全裸でも平気」「筋トレなんてやらない」「規則正しい生活をする意味ない」と思った人も多いはず！

物理的に他者と関われない環境に置かれた人間を見たいなら、「パッセンジャー」などの方がややリアルかもしれません。

ゾンビも飢えも怖いですが、同じ環境で生きていく人間がいないことは、きっと別次元の恐怖に違いありません。

孤独を感じられる映画ならこれが間違いなし！

まとめ｜ゾンビ映画の登竜門のひとつ

「アイ・アム・レジェンド」は「ゾンビ映画と言えば」の代表作のひとつです。

大抵の「ゾンビ映画と言えば」には挙がってくる作品なので、一度は見ておくことをおすすめします。